家族という病

下重暁子が書いた本。家族ほどしんどいものはない、というキャッチコピーで売り出された、ほんとうの家族について書かれた2015年のベストセラー。

家族とは何なのかという問いから始まり、身近な存在だからこそ見落としがちなこの答えを家族という単位ではなく個としての捉え方で書いている。自身が体験してきた家族の摩擦を引き合いに出し、家族の一員それぞれをどう捉えているのかありありと表現、と同時に読者は、家族を個としてどう捉えているのか考えさせられる。

全体的に家族のテーマに皮肉な表現が多いが、しかし、不思議なことに納得させられる部分が多い。それだけ家族を盲信していたのだと読んでいくうちに痛感させられる。

【旅立った家族に手紙を書くということ】最終章では下重暁子の家族ひとりひとりに対する思いがまざまざと表現され、この本は「最後には一人なのだと自分に言いきかせている」という言葉で締めくくられる。

2015年3月25日発行