記号論への招待

池上嘉彦が書いた本。記号論への招待を、本の名の通りしてくれる。論理的に記号に関する事柄を説明していく。ここでいう「記号」とは言語、文化、性別、赤い丸型のプラスチック板、にいたるまで、コミュニケーションに関わるすべてのものを指すとし、その際に、記号を介して、「コード」と「コンテクスト」を用い、我々はコミュニケーションを行っていると述べている。

記号の順番に関する「統辞論」、「機械的な伝達」や「人間的な伝達」、「受信者」と「発信者」。

組み合わせや主体性を絡ませて、深い論理展開を繰り広げていく。

財務3表一体理解法

國貞克則が書いた本。会計の仕組みについて書かれた本。

初心者が手にとってもわかりやすく、すべてを仕組み化して説明してくれる。会計の知識がない人のために財務3表の詳しい説明から入り(とてもわかりやすい)、理解が深まったあとかかってくるお金を実際に入れていく。

自分が会社を設立した設定で、買掛・売掛・利益・税・株式などを財務3表を使ってわかりやすく解説。

一度目読んだだけでは理解できないかもしれない。5回読めばまるっきり理解できるだろう。

2007年5月30日発行

ブランド 価値の創造

石井淳蔵が書いた本。ブランドが創造する価値について様々な切り口から論じられている。今日、私たちが無意識に選んでいるブランド(たとえば「無印良品」や「ベンツ」など)を徹底的に解明し、消費者に選ばれる理由を説明していく。グリコの「ポッキー」の例から始まり、多岐にわたる企業のブランドをカテゴリに分けて論じていく。初めは実体の符号としての言語だった名前をブランドとして確立していく。その奇跡の道のりを「P&G」「コカコーラ」「イッセイ・ミヤケ」等を例にとって、見事に論じていく。

1999年9月20日発行

家族という病

下重暁子が書いた本。家族ほどしんどいものはない、というキャッチコピーで売り出された、ほんとうの家族について書かれた2015年のベストセラー。

家族とは何なのかという問いから始まり、身近な存在だからこそ見落としがちなこの答えを家族という単位ではなく個としての捉え方で書いている。自身が体験してきた家族の摩擦を引き合いに出し、家族の一員それぞれをどう捉えているのかありありと表現、と同時に読者は、家族を個としてどう捉えているのか考えさせられる。

全体的に家族のテーマに皮肉な表現が多いが、しかし、不思議なことに納得させられる部分が多い。それだけ家族を盲信していたのだと読んでいくうちに痛感させられる。

【旅立った家族に手紙を書くということ】最終章では下重暁子の家族ひとりひとりに対する思いがまざまざと表現され、この本は「最後には一人なのだと自分に言いきかせている」という言葉で締めくくられる。

2015年3月25日発行

新しい国へ

安倍晋三が書いた本。首相としての視点と、ひとりの日本人としての思いが、それぞれにつづられたこれからの日本の社会が書かれた254ページにおよぶ良質な本。

主に安全保障条約やアメリカと日本の関係、拉致問題、高齢化、について書かれている。

安全保障条約では「憲法第9条」の解釈や、戦後のGHQの支配によっていかに日本が(軍事的に)貧弱な国であるかを主張している。

アメリカと日本の関係では「アメリカと対等に」を強調し、支配されていないこと(軍事的にも、経済的にも)を説明している。

高齢化では「四人に一人」が2015年に訪れ、年金、社会保障、寿命の話題を旨に「二人に一人」が支えていく未来に提言している。

これらの題材を安倍晋三の生い立ちや、政治家経験をにじみ出しながら正直に書いている。

2013年1月20日発行